繰り返し消費するコンテンツへの推薦理由の提示

概要

この研究では、ユーザが過去に消費したことのあるコンテンツを再度そのユーザに推薦する際に推薦理由を提示する手法を提案しています。既存研究では「あなたが購入した商品と一緒によく購入される商品はこのような商品です」のように、ユーザにとって未知(未消費)のコンテンツを推薦するための推薦理由の生成に焦点があてられてきました。それに対してこの研究では、楽曲の聴取や飲食店の訪問など、ユーザが同じコンテンツ(楽曲や飲食店)を繰り返し消費することの多いドメインを対象として、繰り返し消費されるコンテンツを対象とした推薦理由の生成に焦点を当てている点に新規性があります。

Recommendation reason for repeat consumption



任意のサービスにおいてサービス固有の特徴に応じた推薦理由の生成を可能とするために、人とコンテンツの関わり方を考慮した「属人的要因」「社会的要因」「コンテンツ的要因」の3要因に基づく汎用的な推薦理由の生成フレームワークを提案しています。これにより、例えば楽曲配信サービスであれば、属人的要因を基にすることで「あなたがこの楽曲を初めて聴いてから今日でちょうど5年が経過したので、また聴いてみませんか」といった推薦理由が提示できます。また、訪れた飲食店を記録するサービスであれば、社会的要因を考慮することで「あなたが過去に訪れたこのレストランを好きと言っているユーザが1,000人に到達したので、また訪れてみませんか」といった推薦理由が提示できます。このような推薦理由を提示することで、ユーザは懐かしさや嬉しさを感じながらコンテンツを再度消費することが期待できます。

楽曲の聴取では繰り返し消費されるコンテンツの割合が特に高いことが知られているため、この研究では楽曲推薦における9種類の推薦理由を上記の3要因に基づいて提案し、622名を対象としたアンケート調査を行うことで、提案した推薦理由が消費済みコンテンツの推薦において説得力の向上に有用であることなどを示しました。

発表論文

  • K. Tsukuda and M. Goto
    Explainable Recommendation for Repeat Consumption
    Proceedings of the 14th ACM Conference on Recommender Systems (RecSys 2020), pp.462–467, Sep. 2020.
    [Paper] [Slide]
  • 佃洸摂,後藤真孝
    繰り返し消費されるコンテンツを対象とした推薦理由の提示
    情報処理学会 情報基礎とアクセス技術研究発表会 研究報告,Vol.2021-IFAT-142,No.3,pp.1-10,2021年3月
    [Paper] [Slide]

発表資料

第142回情報基礎とアクセス技術研究発表会の発表資料。


RecSys 2020のポスター。