クリエータのコラボレーション分析

概要

この研究では、複数人のクリエータが協力してひとつの動画コンテンツを創作する「コラボレーション」に関する分析をしています。ニコニコ動画に投稿された動画の中でも、VOCALOIDを用いて創作された楽曲を歌ったり、踊ったり、演奏したりする「派生動画」におけるコラボレーションを扱っています。



分析はコラボレーションと(1)動画の視聴のされ方との関係、(2)クリエータの活動との関係、(3)クリエータの特性との関係、といった観点から行いました。代表的な結果を以下に記述します。

動画の視聴のされ方との関係
コラボレーションによって創作された動画(コラボ動画)と、一人のクリエータによって創作された動画(非コラボ動画)の再生数の分布を調べると下図のようになりました。コラボ動画の方が分布が右に偏っていることから、コラボ動画の方が再生数が多い傾向にあることがわかりました。コラボ動画の場合、創作に関わった各クリエータの動画を日頃視聴して
いるユーザが同じコラボ動画を視聴するために再生数が多くなるのではないかと推測されます。


クリエータの活動との関係
コラボレーション動画を一度でも創作した経験のあるクリエータと、一度も経験したことのないクリエータの活動期間の長さの分布を調べると下図のようになりました。クリエータの活動期間は、その人の最初の動画投稿日と最新の動画投稿日の差により定義しています。図から、コレボレーションの経験したクリエータの方が活動期間が長い傾向にあることがわかりました。現状では相関があることだけがわかっており、因果関係までは検証できていませんが、コラボレーションを経験した結果として活動期間が長くなることが明らかになれば、より容易にコラボレーションができるような環境づくりをしてクリエータ間のコラボレーションを支援する研究への発展などが期待できます。


より詳細な内容は下にある論文PDFをご覧ください。

発表論文

  • S. Hironaka, K. Tsukuda, M. Hamasaki, and M. Goto
    Collaboration in N-th Order Derivative Creation
    Proceedings of the 12th International AAAI Conference on Web and Social Media (ICWSM 2018), pp.608-611, Jun, 2018.
    [Paper]
  • 廣中詩織,佃洸摂,濱崎雅弘,後藤真孝
    N次創作動画におけるクリエータのコラボレーションに関する分析
    ARG 第11回Webインテリジェンスとインタラクション研究会(WI2),2017年12月
    萌芽研究賞
    ステージ発表選出
    [Paper]

依頼講演

  • 廣中詩織,佃洸摂,濱崎雅弘,後藤真孝
    N次創作動画におけるクリエータのコラボレーションに関する分析
    第6回WI2研究会ステージ発表,2018年12月