概要
この研究では、ユーザ生成コンテンツ(UGC)を推薦するためのモデルを提案しています。UGCとは、プロのクリエータではない一般の人々によって創作されたコンテンツのことで、YouTubeの動画やFlickrの写真などがその一例としてあげられます。
UGCを扱わない一般的なeコマースサービスなどでは、ユーザは消費者としての役割しか持たないのですが、UGCを扱うWebサービスでは、一人のユーザが消費者としての役割に加えて創作者としての役割も持つのが特徴です。この特徴を活かし、従来の推薦モデルが「ユーザがどのコンテンツを消費したか」という情報だけを使っていたのに対して、提案モデルではその情報に加えて「ユーザがどのコンテンツを創作したか」という情報も使い、それにより推薦精度の改善を実現しました。
より具体的には、まず各ユーザに対して消費者に対応するk次元ベクトルと創作者に対応するk次元ベクトルを用意します。そのうえで、ユーザuの消費者としての性質と創作者としての性質が似ていれば、uの消費者ベクトルの値と創作者ベクトルの値が近くなるように目的関数に制約を加えます。
このとき、「uの消費者としての性質と創作者としての性質の類似度」≒「uの消費コンテンツと創作コンテンツの類似度」≒「uの消費コンテンツの消費ユーザとuの創作コンテンツの消費ユーザの類似度」とみなして類似度を測ります。「uの消費コンテンツの消費ユーザ」は下図のユーザ集合Aに、「uの創作コンテンツの消費ユーザ」は下図のユーザ集合Bに相当し、AとBの重複が大きくなるほどuの消費者ベクトルの値と創作者ベクトルの値が近くなるようにベクトルの値を学習します。
実験を通して、提案モデルの推薦精度がRecSys 2018で提案されたUGC推薦の最新手法の精度を上回ることを示しました。
より詳細な内容は下にある論文PDFおよび発表スライドをご覧ください。
発表論文
- K. Tsukuda, S. Fukayama, and M. Goto
ABCPRec: Adaptively Bridging Consumer and Producer Roles for User-Generated Content Recommendation
Proceedings of the 42nd International ACM SIGIR Conference on Research and Development in Information Retrieval (SIGIR 2019), pp.1197-1200, July 2019.
[Paper] [Poster] - 佃洸摂,深山覚,後藤真孝
ABCPRec:ユーザの消費者としての役割と創作者としての役割の適応的対応付けによるユーザ生成コンテンツ推薦
ARG 第14回Webインテリジェンスとインタラクション研究会(WI2),2019年6月
優秀研究賞
優秀ポスター発表賞
[Paper] [Slide] [Poster]
招待講演
- 佃洸摂
ABCPRec:何を創作したかという情報がコンテンツの消費時に反映されるユーザ生成コンテンツ推薦手法
第12回Webとデータベースに関するフォーラム(WebDB Forum 2019)先端研究解説セッション2,2019年9月
[Slide] [Poster]
発表資料
WebDB Forum 2019の登壇発表の資料です。
WebDB Forum 2019のポスター発表の資料です。